世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」 
1-F 大森 銀山の大森地区の方

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大森地区は、 17世紀から 19世紀半ばにかけて、石見銀山とその周辺諸村 150余ヶ村の支配の中心となるとともに、武家・商家・寺院など様々な身分・職業の人々が混在して居住する集落が形成された。地区の北端には、代官所跡を中心として代官墓所・地役人旧宅・武士の使用人の長屋など、銀山の支配・運営に関わる建物などが比較的集中して残っている。この周囲には街路に面して武家屋敷と町家が混在する。武家屋敷では道
に面して塀が立ち、庭を隔てて奥に主屋が設けられているのに対し、町家は道に面して土蔵・塀・主屋が設けられており、両者の違いは明確である。また、地区住民らが信仰する神社は代官所跡の北東側に、寺院は武家屋敷や町家の背後の山側に立地している。17世紀初頭の絵図によれば、銀山地区は谷筋の街路に沿って木造の町家が建ち並ぶ繁華な町であった。今日では、宅地の地割が随所に残っているほか、既に水田や畑地へと変化した土地にも旧町家の地割の痕跡が見られる。近年の発掘調査によって、同地区の一部に精錬所跡が存在したことや、集落の土地が製錬及び精錬によって生じた鉱滓を埋め立てて表土で覆って造成していることが判明した。